イーロンマスクの自伝が販売されたが、読まなくても大体中身は分かる。
人の上には人の上に立ちたい奴が立つ。
コネでもない限りは誰もが納得せざるを得ない成果を出して認められることが必要だ。
そのために多大な努力と犠牲を払って運を掴む必要がある。
厳しい躾やコンプレックスがあり、そんな厳しさを乗り越えた成功体験が原体験にあり、そのために感情や優しさを捨て去ったマシーンのような工場生産エリートの価値観に乗り、その手のレールに乗ることがまず条件だ。
猛烈な努力で物事を達成し、達成感は感じてすぐに忘れ、決して満足することはない。他人に対しても決して満足することはなく、あらゆることを要求し続ける。
さらにら、そこに自分独特の価値観をゴリ押しできるだけの鈍感さと遂行し続けるだけの体力が加わる。
これだととてもではないが人が寄り付かず、孤独な一匹狼人生を送ってそうなものだが、金と権力の匂い、すなわち成果と成果を出したことによる名声が人を惹きつける。
彼に近づき、右腕や下につくことで自分もおこぼれ的ステータス、一種の名義貸し、要するに虎の威を得ることができるのだ。
人間的な粗や独特な癖、そして言葉も、それを成し遂げた原因として肯定的に解釈され、やがてオーラと呼ばれるものになる。
だからローンウルフにならず人間を集めて上に立てる。
逆に、成果が出せないとズレたウザい痛い人になって中央線沿いで細々と一人暮らしするか、引きこもって社会への不満を溜めて過激思想や陰謀にハマる。
経営者として成功すれば間違いなくモテるし結婚もできる。それも何歳でも、何回でもだ。
家族に愛情をかける時間は本質的にないし興味もないが、良いパパという上流階級社交界内でのブランディングのために必要な範囲でちゃんと人にアピールできるものが良い。余計な体力を使う、例えば公園で遊んであげるとかではなく、家で本の読み聞かせとかしてあげる感じで。
精力絶倫で一人だけの妻ではとても満足はできない。風俗に行くわけにもいかないし、トロフィー代わりの女、美人で頭もいい女との不倫は沢山する。何せモテる。
それにより無味乾燥で厳しいビジネスの世界ばかり潜ってきた自分に性的、人間的魅力があるのかという不安を和らげることができる。イケメンでセクシーとは反対の人も多いからだ。
だから離婚歴と不倫回数と子供はすべて多い。
とはいえ女目線でも、たとえ歳が30歳上で不細工でも金と金を産み続ける将来性がありそうな男なら、要するに甲斐性があるなら子を産んでしばらく自分が動かなくても寄りかかれそうだ。
四六時中たくさん考えるが、内省はしない。したところで"自分のしてきた物・事"レベルに留まる。
幼少期の生い立ちの苦しさなんかに目を向けたところでアドレナリンとドーパミンの自己肯定の波に攫われる。
特に経営者であればあらゆる社会環境が経営にどんな影響を与えるか分からないから、専門外のことでも首を突っ込んでは観察して判断を下さなくてはならない。
知らないです、という謙虚な態度は人間として素晴らしいが、株主や従業員からすると不安でしかない。だからハッタリや知ったかぶりでもいいから断言調で何かコメントをしなくてはならない。
ADHDに以外と適性があるのはそういうことかもしれない。
ホリエモンがスポーツや寿司を語るがごとく、門外漢の癖に知ったかぶりで頓珍漢なコメントを繰り返すのは癖というか性なのかもしれない。仕方のないことなのだ。
イーロンマスクや新浪剛史の例を挙げるまでもなくその縮小生産バージョンのような変人暴君タイプはそこらの会社役員とかには多いんじゃなかろうか。