skulguyのブログ

とりとめのない完全な独り言を書き連ねていきます

エリート

新年度が始まる。俺は異動した。

異動元でもう少しできることがあったのではと思わないでもなかったが、いざ異動してみると仕事から解放されたことでほっとしているというのが本音だと気付いた。

頑張ればできること、コンフォートゾーンから抜けていくことが大事と言われるが、割合が大切である。

頑張ればできること"だけ"で100%占められている環境では流石に疲れ、溺れてしまう。

丁寧さ、休み時間、そのほかの自分にとってやりやすいやり方が全くもって封じられて身動きが取りづらかったのがじわじわ心を蝕んでしまった。

 

しかし客商売は大変だ。世の中変な人はいっぱいいる。俺は日本的エリートという人種がどんな人間なのかを垣間見た。

就活はもちろん部活や学業で成功を重ねてきた結果、プライドが高くて、自分なりの理想や正解というものが確固としてある。

その通りにやれば上手くいくという責任感が強いのは良いが、人の話や立場や文脈を汲む気は毛頭ない。

人を出し抜き巧みに操るための嘘や隠し事は頻繁で、たとえその相手が身内であっても厭わない。

自分が間違っている可能性については考えない。少なくともそうならないよう考え抜かれており隙を見せない。

頭の回転が早く、弁が立ち、声がデカく、自分のペースに引き込み、圧をかけ要求をドンドン押し付けてくる。

人によってはそうした環境への防衛反応としてか、感情的で気まぐれという変数が加わる。

仕事ができるかや頭が良いかはあまり関係なく、その代わり体力と精神力がすこぶる強く、出世欲その他あらゆる欲が強く、空気が抜群に読め、減点を躱すのがうまく、かつ相手の減点ポイントは常に探り、時と人を選んで他人に責任を押し付けようとしてくる、学校的・部活的・官僚的エリートの巣窟。

俺はそんなタイプに上手く対応できなかった。

そういう人が何人もあちこちにいる、いわゆる日本の大企業は渡り歩きにくかった。

そういう人とコミュニケーションをとり、自分の要求とすり合わせて着地点を探ることができず、心がドンドン重くなっていった。

もちろんそうじゃない、話の通じる良い人や、人の話もきちんと聞くタイプの人、頭の切れるアイディアと実行力を備えたデキる人もいた。

とはいえ、特にデキる人タイプは少数派だ。でもそういう人こそが組織の顔にもなっており、これからも組織を引っ張るのだろう。

良い人タイプは仕事に対するガッツが足りず、成果があまり出ないパターンも残念ながら多かった。でもそれでも良いと思ってしまう。成果ばかりが人間存在そのものではない。でも居場所があまりになくて息苦しくなる。

 

エリートコースというのは俺が避けてきた"べき思考""他人目線"の塊だ。つまり精神的な健康にとってはよくやい。

相手の期待に応えるべき、というのが全てのベースとしてある。そこに積み重なった無形文化としてのルールが加わっていく。

スーツとネクタイはビシッと締めるべき、歳上は常に敬うべき、接待では人を満足させるべき、常にハキハキしゃべるべき、excelは紙で印刷したときに見やすくするべき、コミュニケーションは対面か電話で伝えるべき…

これは序の口で、他にもたくさんあった気がするが思い出せない。とにかくルール自体を変えようとすることはなかなかセンシティブな話になる。

そこにもちろん、仕事をバリバリこなして高い成果をあげ金をドンドン稼ぐべきというマインドがついてくる。

 

エリートコースを歩む結果として得られる、タワマンや車や時計はいらない。

でもそれは元々持っていた執着を捨てたんじゃなくて、元々その欲が無かっただけだ。

しかし俺に生きたいという欲がある限り、ある程度の金、ある程度の承認を欲することになる。

飯が食え、暑さ寒さを凌げ、何かあった時の貯金があれば良い。親の介護や自分の老後がちらっと気になることもある。

それには金が必要で、金を得るためには会社への所属か仕事の成果によって誰かから承認される必要がある。

一方で俺は俺の個性が世間の求めることとズレているが故に、金と承認を得るためには多大な努力と犠牲が必要になる。

だから結局、金や他人の目線を気にしすぎて疲弊してしまう。

生きるという欲自体を捨てるか、現実でうまくやるためのスキルとマインド、すなわち問題解決力と自信や自己肯定感を持つようにしなくてはならない。

これまでに歪んだ認知パターンに気づいて捨てたマインドもあるが、生きるという執着、欲を捨てるのは、まだ難しい。

 

20代の頃感じていた自己否定やべき思考はだいぶ落ち着いたものの、まだ上手くやるためのマインドを持てたわけではないのだ。

新しいやり方を身につけておらず、クセになっている過去のやり方で突っ込んでしまいまた鬱っぽくなる。

今の俺はニュートラル、空っぽで、目先の欲に流されたり、目の前のことに突っ込んで失敗している状況だ。